ふしぎブログ

ウーン ムニャムニャ

食欲の秋とデレク・ジャーマン

幼い頃から食事をあまり摂らずに生きてきた気がする。朝は食欲がないのであまり食べられず、昼の給食に関しては、もともと少食だったので一定量を食べなければならないというプレッシャーを感じてますます食べられなかった。夕食もサラダだけ好んで食べて、他はあまり食べなかった。
こんな自分であるが、嫌いな食べ物はない。さすがにおぞましい物が出てきたら拒否するが、それ以外ならなんでも食べられる。子供が苦手とするピーマンや人参はむしろ好物だったし、食べる気力があまりになかっただけなのである。
大人になってからも、食べるのが苦手だと感じることがあった。食べることが楽しみではなく、単純作業のように感じる時期があった。なんだか自分が人間という生命体として生まれて、食べるという行為を繰り返して死を迎えるという事実に虚しくなったこともあった。そしてこういう心の絶望をどこかで大切だと思ってしまう自分もいて、余計に虚しくなった。

 

少し前、デレク・ジャーマンの『ウォー・レクイエム』という映画を観た。悲惨な戦争の映像にブリテンの鎮魂歌がずっと流れていたのが印象深い。むかし友人が「ジャーマンが撮る包帯ってセクシーだよねえ」と言っていたが、この作中に出てくる医療器具は確かにセクシーだった。包帯、注射器、薬瓶、担架、白いカーテン――そういうものはいつだってセクシーで美しい。実際に病院で見るとまったくそんなことないけれど。人はどこかで精神的に不健康なものを求めてしまうのかもしれない。

余談だが、同監督の『ヴィトゲンシュタイン』という映画も二十歳の秋に観た。作中での色彩の使い方があまりにも異常だったので驚愕した。なんというか、百円ショップのメイドインチャイナをかき集めたような代物なのだ。原色ギトギトなのに、なぜか落ち着きがある。そこにあるべき場所にその色がきちんと嵌っているような感覚があった。好みの作品ではなかったが、印象に残っている。

 

最近、急に温度が下がってきて、季節はすっかり秋である。去年の今頃、エイズ患者の歌うジャズを聴きながら試験勉強をしていたことを思い出す。勉強に飽きると、ノートの端に詩を書いていた。詩を書けば、どこか遠くに行けるような気がした。本当はどこにも行けないと分かっていたけれど……。

 

 

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